「40代の貯金は、同年代と比べて少ないのだろうか」。教育費や住宅ローンが重なると、平均貯蓄額を見て不安になることがあります。
先に結論をお伝えすると、J-FLECの2025年調査では、40代の金融資産の中央値は二人以上世帯で500万円、単身世帯で100万円です。ただし、これは預金だけの金額でも、将来の安心を保証する目標額でもありません。
この記事では30代・40代・50代の平均と中央値を世帯別に比較し、数字の読み方と、家計・働き方を見直す順番を解説します。
この記事で使うデータ
- J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」の公式集計
- 金額の表は、金融資産を保有していない世帯を含む集計
- 年齢は世帯主の年齢、金額は世帯全体の金融資産
2026年10月5日に確認した2025年の公表資料を使用しています。二人以上世帯は5,000世帯、単身世帯は2,500世帯を対象とするインターネットモニター調査です。日本の全世帯や会社員だけを集計した数字ではありません。
40代の貯金の中央値は?まずは世帯別に確認
「40代の貯金の中央値」を調べると、100万円、500万円など違う数字が出てきます。主な理由は、単身世帯か二人以上世帯か、金融資産を持つ世帯だけかという集計条件の違いです。
| 世帯区分 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|
| 二人以上世帯 | 1,486万円 | 500万円 |
| 単身世帯 | 859万円 | 100万円 |
出典:J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」、二人以上世帯・単身世帯の各種分類別データ、表4。
二人以上世帯の500万円を、40代会社員一人の貯金額と比較しないようにしましょう。夫婦だけの世帯も、親子などで暮らす世帯も含まれます。単身世帯も「未婚の人」に限定した区分ではありません。
また、中央値より少ないから生活が破綻する、多いから老後は安心、とも判断できません。毎月の支出、借入れ、扶養家族、今後の収入によって必要な備えは変わります。
金融資産と貯金は違う|「資産なし」の意味にも注意

検索では「貯金」と呼ばれがちですが、この調査が扱うのは将来に備えて蓄えたり、運用したりしている金融資産です。銀行口座にあるお金のすべてを、そのまま足す集計ではありません。
| 区分 | 代表例 |
|---|---|
| 含まれるもの | 将来に備えた預貯金、株式、投資信託、債券、積立型保険、個人年金保険など |
| 含まれないもの | 日常の出し入れ・引落しに備えた預貯金、現金、土地・住宅などの実物資産、事業用の金融資産 |
普通預金か定期預金かではなく、目的による区分です。普通預金でも将来に備えて蓄えている部分は対象になり、生活費の引落し用として置いている部分は除かれます。
たとえば、口座残高が80万円ある場合
そのうち30万円が生活費の支払い用、50万円が将来に備えた貯蓄なら、調査の考え方では後者の50万円が金融資産に当たります。これは説明用の仮定で、筆者の資産額ではありません。
したがって、調査でいう「金融資産非保有」は、必ずしも預金残高がゼロという意味ではありません。生活費用の預金があっても、将来用の蓄えや運用資産がなければ非保有に分類される場合があります。
自分の状況を比べるなら、生活費用の預金と将来用の蓄えを分けることが先です。持ち家の価格を加えた総資産や、住宅ローンを差し引いた純資産とも別の数字だと理解しておきましょう。
平均値と中央値はどちらを見る?役割の違いを知る
平均値は全体の金額を足して世帯数で割った値、中央値は金額順に並べたときの中央の値です。一部の大きな資産が平均値を押し上げるため、両者には差が出ます。
数字の違いをつかむための架空例
10世帯のうち9世帯が100万円、1世帯が9,100万円を持っていると、合計は1億円。平均は1,000万円ですが、中央に位置する5番目・6番目はいずれも100万円なので、中央値は100万円です。
「平均が1,000万円」と聞いても、10世帯の多くがその金額を持っているわけではありません。
同年代の家計の位置を大まかに見るなら、中央値が参考になります。一方、中央値も最も人数の多い金額や、生活に必要な金額を示すものではありません。平均値も全体の規模を捉える指標として意味があり、どちらかが間違いという話ではないのです。
「金融資産を持つ世帯だけ」の中央値とは分けて考える
2025年の40代では、金融資産保有世帯だけに絞ると、中央値は二人以上世帯で828万円、単身世帯で400万円です。非保有世帯を含む500万円・100万円とは対象が異なります。
記事やSNSの数字を見るときは、調査年、世帯区分、非保有世帯を含むかを確認してください。条件が違う数字を並べるだけでは、自分の家計の判断材料になりません。
30代・40代・50代の金融資産を平均・中央値で比較
ここからは同じ2025年調査の数字を、世帯区分ごとに並べます。どちらの表も金融資産を保有していない世帯を含み、金額の単位は万円です。
二人以上世帯|30代311万円・40代500万円・50代700万円
| 世帯主の年代 | 平均値 | 中央値 | 非保有の割合 |
|---|---|---|---|
| 30代 | 1,096万円 | 311万円 | 17.6% |
| 40代 | 1,486万円 | 500万円 | 18.8% |
| 50代 | 1,908万円 | 700万円 | 18.2% |
出典:J-FLECの2025年調査・二人以上世帯の各種分類別データ、表2・表4。
40代では平均と中央値に986万円の差があります。「平均より少ない」という理由だけで、自分の家計を過度に悪く評価する必要はありません。
30代は住宅購入や子育ての開始、40代は教育費と住宅ローン、50代は進学費用や老後の準備などが家計の課題になり得ます。ただし、これは生活設計で考えたい一般的な要素で、この表だけから資産額の差の原因を断定することはできません。
単身世帯|30代100万円・40代100万円・50代120万円
| 世帯主の年代 | 平均値 | 中央値 | 非保有の割合 |
|---|---|---|---|
| 30代 | 501万円 | 100万円 | 32.3% |
| 40代 | 859万円 | 100万円 | 32.1% |
| 50代 | 999万円 | 120万円 | 35.2% |
出典:J-FLECの2025年調査・単身世帯の各種分類別データ、表2・表4。
単身世帯は中央値が二人以上世帯より小さい一方、住居費を一人で負担するなど、支出構造も違います。世帯人数で単純に割れば公平に比較できるわけではありません。
年代の比較は、同じ人の10年間の変化ではありません
30代と40代の差額が、今の30代が10年後に増やせる金額を示すわけではありません。年代ごとに別の世帯を調べた結果です。「年齢が上がれば自然に貯まる」とは判断しないでください。
中央値より少ないときに確認したい3つの家計指標
貯金が中央値に届かないと、投資で追いつかなければと思うかもしれません。先に確認したいのは、毎月の収支、すぐ使えるお金、これからの支出です。
毎月の収支|ボーナス頼みの赤字になっていないか
給与の手取りから生活費と返済額を引いて、毎月いくら残るかを確認します。年払いの保険料、自動車税、家電の買い替えなども月単位に割り戻すと、普段の家計簿では見えない不足に気づきやすくなります。
月々は黒字でも、ボーナスで赤字を埋めているなら、年間では貯蓄が増えていない可能性があります。家計改善は、投資商品の選択より、まずこの収支を確かめるところから始めましょう。
生活の予備費|収入が止まっても何か月支払えるか
株式や投資信託を含めた金融資産額と、すぐ使える預金額は分けて把握します。相場が下がった時期に、生活費のために運用資産を売らなければならない状況は避けたいところです。
計算例:生活の予備費が何か月分あるか
予備費として使える預金120万円 ÷ 必要生活費の月20万円 = 6か月分。
これは計算方法を示す例です。教育費など使い道が決まっているお金は予備費から分け、何か月分を確保するかは家族構成、雇用の安定性、他の収入などに合わせて考えます。
今後の支出|教育費・住宅ローン・老後資金を分ける
同じ500万円でも、来年の進学費用として使う500万円と、当面使う予定のない500万円では余裕が違います。住宅ローン残高や金利、返済期間も、金融資産とは別に確認する必要があります。
- 日常のお金:毎月の生活費と支払い
- 近い将来のお金:進学、車検、修繕など時期が見える費用
- 長い将来のお金:老後など、当面使わない資金
お金の不安と仕事の不安が重なっている人は、会社員40代が急に人生を不安に感じる7つの理由も参考に、どの不安から手をつけるか整理してみてください。
40代からの資産形成は「家計・備え・収入」の順に考える

中央値を見て焦るより、毎月残るお金を少しずつ増やすことが次の行動につながります。無理な節約や短期間の高い運用益を前提にせず、次の順番で確認しましょう。
- 固定費を一つ確認する:通信費や使っていないサービスなど、生活への影響が小さい支出から見直す。
- 先取り貯蓄を続けられる額にする:5,000円などの少額でもよいので、引落し不足が起きない金額で自動化する。
- 生活の予備費と予定支出を分ける:近いうちに使うお金を、価格が大きく動く商品に回しすぎない。
- 収入を増やせる選択肢を確認する:社内での評価や待遇、転職先の条件を調べ、家計への影響を比較する。
筆者の経験|家族を支えるお金と働き方は切り離せない
私は20年以上のブラック企業勤務とBtoB営業を経験し、妻と二人の娘を支えながら、教育費や住宅ローンの負担を感じてきました。忙しい日々の中で、家計や先の働き方まで考える余裕が乏しいこともありました。
家計管理では無料の家計簿アプリを使い、使ったお金を把握するようにしています。また、「余ったら貯金する」という考えでは思うように貯められなかった経験もあります。具体的な資産額や、家計改善で増えた金額を示せるものではありませんが、感覚だけで考える難しさは実感しています。
働き方については40代で転職し、私の場合は前職より収入が上がりました。そこから、支出だけでなく、働く会社や経験の評価も家計の選択肢に関わると考えるようになりました。
もちろん、転職すれば誰でも収入が増えるわけではありません。40代で転職してよかった5つのことでは私自身が感じた変化を整理しています。今の仕事を続けながら条件を調べることも、一つの準備です。
家族がいる場合は年収だけで決めず、賞与、休日、通勤費、収入が途切れる可能性まで比較してください。話し合いの進め方は、40代転職で家族に応援される6つの条件で詳しく解説しています。
NISA・iDeCoは、お金を使う時期と制度の特徴を確認して選ぶ
NISAは対象商品の運用益が非課税になる制度です。2024年からは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が設けられています。ただし、非課税だから元本が保証されるわけではなく、投資する商品によって損失が出る可能性があります。
iDeCoは老後資金づくりの制度で、掛金の所得控除などがありますが、原則として60歳以降の受給年齢に達するまで引き出せません。家計の予備費や近い将来の教育費を置く場所としては、この制約をよく確認する必要があります。
制度の詳しい内容は、金融庁のNISA案内、資産形成の基本、iDeCo公式のよくあるご質問で確認できます。生活費、借入返済、予備費を整理したうえで、当面使わない資金をどう扱うか考えましょう。
金融資産・貯金の中央値についてよくある質問
夫婦とも40代なら、中央値の500万円を二人分にして考えますか?
二人分にはしません。二人以上世帯の500万円は世帯全体の金額です。夫婦それぞれ500万円、合計1,000万円という意味ではありません。
住宅ローンがある場合、金融資産から差し引いて比較しますか?
この表の金融資産保有額と比較するときは、住宅ローンを差し引きません。ただし、自分の家計の安全性を考えるには、資産と借入残高、毎月の返済額を別々に確認してください。
自分が上位何%か、平均と中央値だけで分かりますか?
分かりません。資産額の分布や集計条件が必要です。区切られた金額帯の割合だけでも、個別の金額の正確な順位までは判断できないことがあります。
貯金額はどのくらいの頻度で確認するとよいですか?
家計の収支は月ごと、資産・負債や今後の支出予定は年に一度など、続けやすい間隔を決めると整理しやすくなります。転職や進学、住宅購入など大きな変化の際は、その都度見直しましょう。
まとめ|同年代の数字を、家計を整えるきっかけにする
2025年調査の40代の金融資産の中央値は、二人以上世帯で500万円、単身世帯で100万円です。預金だけの数字ではなく、世帯区分や非保有世帯を含むかによって結果が変わります。
今からすることは、次の3つです
- まず確認:自分の世帯区分、生活費用の預金、将来用の蓄え、借入残高を整理する。
- 次に行動:毎月の収支と予定支出を見て、固定費を一つ見直すか、無理のない先取り貯蓄を決める。
- 無理にしなくてよいこと:中央値に追いつくために、生活費まで投資したり、急いで会社を辞めたりする。
数字は自分を責めるためではなく、次の一手を決めるために使うものです。家計を把握し、必要な備えを確保しながら、働き方も含めて選択肢を広げていきましょう。
参考にした公式資料
- J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」(各種分類別データの表2・表3・表4、調査結果の概要)
- 二人以上世帯の各種分類別データ/単身世帯の各種分類別データ
- J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査」の訂正について(2026年1月21日。概要資料は訂正版を参照)
- 金融庁「NISAを知る」/「資産形成の基本」
- iDeCo公式「よくあるご質問」



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