「職務経歴書に何を書けばいいのか分からない」「長く働いてきたのに、目立つ実績がない」。そんなときは、仕事内容を担当業務・課題・工夫・結果に分けて整理するところから始めましょう。売上や表彰だけが、書ける経験ではありません。
私は20年以上のブラック企業勤務経験とBtoB営業経験があり、40代で転職しました。この記事では、職務経歴書の基本項目から、実績が思いつかない人向けの例文、職歴がない場合の対応まで解説します。経験を大きく見せるより、応募先で何ができるかを具体的に伝えることが大切です。
先に押さえる3つのポイント
①履歴書は経歴の一覧、職務経歴書は仕事の中身を伝える書類。②数字がなくても、担当範囲と工夫を具体化できる。③例文はそのまま使わず、実際の経験に置き換える。
職務経歴書の内容は?履歴書との違いと基本項目
職務経歴書は、これまで担当した仕事や身につけた能力を、応募先に伝える書類です。会社名と在籍期間を並べるだけでは、何を任せられる人なのかが伝わりません。
| 項目 | 履歴書 | 職務経歴書 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 学歴・職歴などの基本情報を示す | 担当業務・経験・能力を詳しく伝える |
| 中心になる内容 | 入退社年月、資格、志望動機など | 職務要約、業務内容、工夫・実績、自己PRなど |
| 様式 | 応募先指定や様式例を確認 | 自由様式が基本。指定があれば従う |
ハローワークは、職務経歴書をA4縦サイズ1~2枚程度にまとめる書類として案内しています。まずはこの分量で読みやすく整理し、応募先の指定や経歴の量に応じて調整しましょう。文字を小さくして無理に詰め込む必要はありません。
迷ったら、この順番で書く
| 記載項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 表題・日付・氏名 | 「職務経歴書」、提出日、氏名 |
| 職務要約 | 経験した職種、担当領域、強みの概要 |
| 職務経歴 | 在籍期間、正式な会社名、事業内容、雇用形態、部署・役割 |
| 担当業務・実績 | 扱った商品や顧客、仕事の範囲、工夫、確認できる結果 |
| 活かせる知識・資格 | 応募職種に関係する知識、資格、使用できるツールと操作範囲 |
| 自己PR | 強みを裏づける経験と、応募先での活かし方 |
職務要約は、最初に読む人が経歴をつかめるよう、数行にまとめるのがおすすめです。会社の説明ばかりに紙面を使わず、自分が担当した業務を中心に書きます。会社規模などは、公開情報や確認できる範囲で補足してください。
履歴書も一緒に作る方は、履歴書の正しい書き方完全ガイド!採用担当に刺さる作成術をご覧ください。
書くことがないときは、日常業務を棚卸しする

「毎日同じ仕事をしていただけ」と感じる人ほど、まずは仕事の一覧を書き出してみてください。成果を探す前に、誰に対して、何を、どこまで担当していたかを整理すると、材料が見えてきます。
「減らした・つないだ・支えた」から考える
| 振り返る視点 | 思い出す質問 | 書類で伝える内容 |
|---|---|---|
| 減らした | 手戻りや確認漏れを防ぐ工夫は? | 確認手順、作業方法の見直し |
| つないだ | 顧客と社内、部署同士の調整は? | 関係者、調整内容、自分の役割 |
| 支えた | 安定して担当した仕事や引き継ぎは? | 担当範囲、継続した対応、共有方法 |
例えば「電話対応をしていた」なら、問い合わせ内容の確認、担当者への引き継ぎ、回答までの進捗確認などに分けられます。自分が実際に行っていた部分を取り出すと、業務の中身が具体的になります。
耐えた経験は、仕事で行ったことに置き換える
「理不尽な環境に耐えました」だけでは、実務能力を判断しにくくなります。負担の大きい状況でも行っていた優先順位の整理、納期確認、関係者への連絡など、説明できる行動を探しましょう。ハラスメントへの耐性を強みとして売り込む必要はありません。
数字がないときは、範囲と手順を具体化する
売上実績が分からなくても、担当した顧客の種類、商材、業務の流れは書けます。「多くの業務を担当」より「見積作成から受注後の納期確認まで担当」のほうが、仕事の範囲を想像しやすくなります。
件数や期間を書く場合は、記録や合理的な根拠を確認しましょう。概数なら「約」と添え、測っていない改善率や、根拠のない「ミスゼロ」は加えません。チームの成果については、全体の結果と自分の役割を分けて書いてください。
40代の転職で、私が大切だと考えること
私自身、20年以上BtoB営業に携わり、40代で転職しました。営業では、派手な提案だけでなく、誠実な対応や日々の関係づくりも大切だと感じています。
ただし、職務経歴書に「誠実です」とだけ書いても、その中身は伝わりません。問い合わせをどう受け、社内と何を確認し、相手へどう返していたか。自分の経験をこうした行動に分けて説明することをおすすめします。ここで紹介する例文は書き方の例で、私の実績を示すものではありません。
職務経歴書の書き方は4ステップで整理する
最初から完成した文章を書こうとすると、手が止まりがちです。まずメモを作り、応募先に必要な経験を選び、最後に文章へ整えましょう。
1.求人票から、求められる経験を拾う
仕事内容と応募条件を読み、「既存顧客への営業」「受発注処理」「品質確認」など、実務に関する言葉を拾います。そのうえで、自分の経歴のどの部分が対応するかを考えます。要件を満たしていない部分まで、経験があるように書かないでください。
書類を作る前に応募先の条件も確認したい方は、転職サイトのブラック企業の見分け方|求人・面接の特徴7選をご覧ください。
2.職務経歴の並べ方を選ぶ
| 形式 | 並べ方 | 選ぶ目安 |
|---|---|---|
| 編年体 | 古い経歴から順に書く | 経験の積み重ねを説明したい |
| 逆編年体 | 直近の経歴から書く | 現在の経験が応募先に近い |
| キャリア式 | 職務分野ごとにまとめる | 複数社で共通の仕事をしてきた |
どの形式でも、会社名や在籍期間が確認できるようにします。キャリア式を使う場合も、勤務先と期間の一覧を添えると経歴が追いやすくなります。迷ったら、応募先と関係の深い経験を見つけやすい形式を選びましょう。
3.担当業務・課題・工夫・結果を分ける
文章にする前のメモ
担当業務:何を任されていたか。課題:何に困っていたか。工夫:自分がどう動いたか。結果:何が変わったか、どこまで確認できるか。
結果が分からない場合は、取り組みの内容と現在の運用状態を説明します。「業務効率を大幅改善」と言い切るより、「確認項目を一覧にし、担当者間で共有する運用を行った」と書くほうが、事実に沿って伝えられます。
4.応募先に合わせて要約と自己PRを整える
職務要約には、応募職種と関係の深い経験を優先して入れます。自己PRは「強み→具体的な行動→結果や確認できる事実→応募先での活かし方」の順にすると、読み手が判断しやすくなります。
求人ごとに経歴を作り変えるのではなく、同じ事実の中から強調する部分を選びます。応募先の業務と接点が薄い話は短くし、必要な経験に紙面を使ってください。
実績に自信がない人向け|職種別の例文

例文の使い方
以下は説明用の例文です。筆者の経歴でも、特定の応募者の実績でもありません。担当していない業務や使えないツールを削り、会社名・期間・内容を事実に置き換えて使用してください。
営業職:売上以外の対応力を伝える
職務要約の例
法人向け営業として、既存顧客への提案、見積作成、受注後の納期確認を担当してきました。顧客の要望を整理し、社内の関係部署と確認したうえで回答する対応を重視しています。今後も、これまでの顧客対応と調整の経験を法人営業に活かしたいと考えています。
- 担当業務:既存顧客への訪問・問い合わせ対応、見積書作成、受注後の連絡。
- 工夫の例:回答に時間がかかる場合は、確認中の内容と次の連絡予定を先に伝える。
- 結果の書き方:確認できる顧客評価や継続取引の事実があれば、自分の対応との関係が分かる範囲で補足する。
営業経験は、担当する相手と商品によって中身が異なります。法人・個人、既存・新規、商材、担当エリアなどを加えると具体的です。顧客名や取引条件など、秘密情報をそのまま書くことは避けましょう。
事務職:正確さを、確認方法で説明する
業務内容・工夫の例
受発注情報の入力と請求書の作成補助を担当。入力前に注文内容と必要項目を照合し、不明点は担当者へ確認してから処理していました。月末に確認が集中する項目は一覧で管理し、対応状況を関係者と共有していました。
「ミスなく頑張った」より、何を照合し、どの場面で確認したかを示します。Excelも「使用可能」だけで終わらせず、表作成、使用できる関数、集計など、実際にできる範囲を書くと伝わります。
製造・物流職:作業範囲と安全確認を伝える
業務内容・工夫の例
製品の検品と出荷前の確認を担当。作業手順に従い、数量と外観を確認していました。判断に迷う状態を見つけた場合は自己判断で進めず、責任者へ報告し、確認後に処理していました。引き継ぎ時には、未処理の作業と注意点を共有していました。
扱った製品、設備、検査内容、資格があれば加えましょう。管理職経験がなくても、自分の担当工程や報告の役割は書けます。改善活動に関わった場合は、提案したのか、実行を担当したのかを明確にしてください。
本当に職歴がない場合・アルバイトだけの場合
「実績がない」と「就業経験がない」は別の悩みです。正社員として働いた経験がなくても、アルバイトやパート、契約社員などの仕事は、雇用形態を明記したうえで整理できます。接客、在庫確認、清掃なども、実際に担当した内容を書いてください。
就業経験がない場合は、職歴を作って埋める必要はありません。職務経歴書の提出を求められたら、経験がないことを伝え、学習歴や訓練、資格、応募職種に関連する活動をどのような書類で示すか、応募先またはハローワークに相談しましょう。
就業経験がない場合の相談文例
就業経験がないため、職務経歴として記載できる内容がありません。応募職種に関連する学習内容や資格、自己PRをまとめた書類で提出してもよいでしょうか。
学習中の内容は「学習中」と示し、実務経験と区別します。家庭での活動やボランティアを紹介する場合も、勤務歴として扱わず、活動の期間と内容を説明してください。
提出前に確認したい職務経歴書のチェックリスト
- 履歴書と会社名・入退社年月が一致している。
- 日付は和暦か西暦に統一し、提出時点の内容へ更新している。
- 会社名・資格名は正式名称で記載している。
- 職務要約と自己PRが、応募する仕事内容につながっている。
- 数字の期間・単位・根拠と、自分の担当範囲を説明できる。
- 社内用語を、社外の人にも分かる言葉に置き換えている。
- 誤字、空白ページ、表のはみ出し、文字の小ささを確認した。
- 提出ファイルの形式・名前・容量が、応募先の指定に合っている。
メールや応募フォームで提出するときは、指定がなければPDFにすることでレイアウトを保ちやすくなります。ただし、Word形式などの指定がある場合は従ってください。PDFに変換した後も開いて、改ページや文字切れを確認します。
提出した書類の控えは残し、面接前に読み返しましょう。書類に書いた工夫について「なぜそうしたのか」「自分は何を担当したのか」を説明できるか確認すると、面接準備にもなります。
職務経歴書のよくある質問
職務経歴書は手書きでもいいですか?
応募先の指定がなければ、手書きも選択肢です。ただし、修正や応募先ごとの調整がしやすいパソコン作成をおすすめします。手書きの場合は、読みやすさを確認し、誤字があれば清書し直しましょう。
自己PRと志望動機は同じ内容でいいですか?
自己PRは「自分の強みと、その根拠」、志望動機は「なぜその会社・仕事を選ぶのか」が中心です。同じ経験を使う場合も、説明する目的を分けると重複を減らせます。
転職回数が多い場合は、会社を省略してもいいですか?
経歴を隠すために省略することは避けましょう。各社の在籍期間が分かる一覧を作り、応募先に関連する経験を詳しく書く方法があります。共通して経験した業務をまとめる場合も、どの会社の経験か追える形にします。
ブランク期間はどう書けばいいですか?
空白を隠すために在籍期間を変えてはいけません。説明が必要な場合は、事実に沿って簡潔に記載し、現在の就業準備状況や学習内容を補足します。書いていない期間について質問されても、説明できるように準備してください。
実績がなくても職務経歴書は必要ですか?
応募先から求められているなら、実績の大小にかかわらず準備します。担当業務、仕事の範囲、工夫、活かせる知識を整理しましょう。就業経験そのものがない場合は、提出方法を応募先に確認してください。
まとめ|職務経歴書は経験を具体的に伝える書類
職務経歴書を書くときは、最初に「すごい成果」を探す必要はありません。担当した業務を並べ、困り事に対してどう動いたかを整理すれば、日常の仕事にも伝えられる材料があります。
私が大切だと考えるのは、経験を大きく見せることより、自分ができる仕事を誠実に伝えることです。まずは一つの業務について、担当範囲と工夫を書き出してみてください。そのうえで、応募先の仕事につながる経験を選びましょう。
書類づくりの前後に何を進めるかは、転職活動のやり方おすすめ手順|30・40・50代が失敗しない王道をご覧ください。
参考資料
基本項目や書類の形式は、ハローワークの公式資料を参考にしています。本記事の例文・棚卸し表・チェックリストは独自に作成したものです。応募先からの指定がある場合は、その指示を優先してください。

