会社で長く働いていると、ときどき不思議な人物に遭遇することがあります。
役職はそれほど高くない。
管理職ですらない。
それなのに、
「なぜか上司までその人の機嫌をうかがっている」
「その人が嫌っている社員には、周囲も近づかなくなる」
「本人の一言で職場全体の空気が変わる」
こんな人物です。
僕はこうした人物を、このブログでは分かりやすく**「職場の女帝」**と呼んでいます。
そして女帝の周りには、高確率で女帝に同調し、情報を集めたり、女帝が嫌っている社員から距離を取ったりする「取り巻き」が生まれます。
この取り巻きを、このブログでは**「近衛兵」**と呼んでいます。
もちろん「女帝」「近衛兵」は正式な心理学用語や法律用語ではありません。また、このような人間関係は女性だけに起こるものでもなく、男性中心の職場でも同じような構造はあります。
この記事では、僕が20年以上会社員として働いてきた中で実際に見てきた経験をもとに、
- 職場の女帝とはどんな人物なのか
- なぜ取り巻きが生まれるのか
- なぜ会社は女帝を放置するのか
- 女帝や取り巻きに狙われたときどうするか
- 無視や仲間外しはパワハラになるのか
- 会社が助けてくれない場合どうするか
について解説します。
女帝と真正面から戦って勝つことがこの記事の目的ではありません。
会社員として自分の立場と生活を守りながら、できるだけ消耗せずに生き残ること。
これが一番大事だと僕は考えています。
職場を支配する「女帝と近衛兵」という構造

僕も20年以上会社員として働く中で、いろいろな人間関係を見てきました。
その中でも厄介なのが、役職とは別のところで強い影響力を持っている人物です。
例えば、
- ベテラン社員
- 古参のお局
- 経理や総務を長く担当している社員
- 社長から絶大な信頼を得ている社員
- 上層部と個人的な関係が深い社員
- 社長の妻や親族など経営者一族
などです。
こうした人物が必ず問題になるわけではありません。
問題なのは、長年蓄積した影響力を利用して、「誰を仲間に入れるか」「誰を排除するか」という人間関係まで支配し始めた場合です。
女帝は「役職」ではなく「空気」を支配する
職場の女帝が持っているのは、必ずしも正式な決裁権ではありません。
むしろ怖いのは、
「職場の空気を変える力」
です。
例えば、
- 上司ですら機嫌をうかがっている
- 女帝が嫌った社員を周囲も避ける
- 人事評価について上司へ意見する
- 社内の情報が女帝へ集中している
- 女帝に逆らった社員が孤立する
- 飲み会や昼休みなど社外・業務外でも派閥を作る
といった状態です。
表面的には普通の社員でも、実質的には管理職以上の影響力を持っているケースがあります。
これは非常に厄介です。
正式な上司であれば職務権限や責任の範囲があります。
しかし、非公式な権力にはそれがありません。
だからこそ問題が表面化しにくいのです。
※あわせて読みたい
▶お局とは?会社のお局様の意味と特徴!ターゲット回避の対処法を解説
女帝の周りにいる「近衛兵」の方が厄介なこともある

女帝一人なら、ある程度距離を取ることができます。
しかし、本当に厄介なのはその周囲にいる取り巻きです。
僕はこの取り巻きを「近衛兵」と呼んでいます。
近衛兵の行動原理は非常に分かりやすい。
「女帝に嫌われたくない」
これです。
中には女帝を本当に尊敬している人もいるでしょう。
しかし、
「逆らうと今度は自分が標的になる」
と考え、女帝側についている人も少なくありません。
その結果、
女帝の敵=自分たちの敵
という構図が出来上がります。
近衛兵は「情報収集役」になる
厄介なのが情報です。
例えばあなたが、
「最近この会社ちょっとおかしくない?」
と同僚へ何気なく話したとします。
普通の職場ならただの雑談です。
しかし派閥化した職場では、
あなた
↓
同僚
↓
近衛兵
↓
女帝
という経路で伝わることがあります。
しかも伝言ゲームなので、最後には、
「○○さんが会社の悪口を言っていた」
くらいまで話が大きくなっていることもあります。
こうなると非常に面倒です。
だから女帝が支配する職場では、誰に何を話すかを慎重にした方がいいと僕は考えています。
なぜ「女帝と近衛兵」の構造はなくならないのか
「そこまで職場に悪影響があるなら、会社が何とかすればいい」
普通はそう思います。
僕も昔はそう思っていました。
しかし長く会社員をやっていると、そう簡単ではないことが分かってきます。
上層部からは「職場をまとめている人」に見える
女帝の怖いところは、経営者や上司の前では問題行動が見えにくいことです。
むしろ、
「面倒見がいい」
「職場をまとめてくれる」
「社員のことをよく知っている」
と高く評価されている場合があります。
一方、実際の現場では、
- 気に入らない社員を孤立させる
- 悪い噂を広げる
- 情報を回さない
- ミスを必要以上に問題視する
- 仲間だけ優遇する
といったことが起きている。
ところが、これらは一つ一つを見ると非常に小さな出来事です。
そのため上層部からすると、
「単なる人間関係の問題」
として処理されやすいのです。
「いじめ・嫌がらせ」は珍しい労働問題ではない
職場の人間関係について悩んでいる人は決して珍しくありません。
厚生労働省が2026年7月に公表した「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」では、総合労働相談件数は119万8,010件でした。
そのうち、民事上の個別労働関係紛争に関する相談では、「いじめ・嫌がらせ」が55,614件となり、14年連続で最多となっています。
※2022年4月以降、法律上の「職場におけるパワーハラスメント」に関する相談は別制度で扱われているため、この数字だけで職場のハラスメント全体を表しているわけではありません。
それでも「職場でのいじめ・嫌がらせ」が長年、多くの相談を集めている問題であることは分かります。
「こんなことで悩んでいるのは自分だけなのでは?」
と思う必要はありません。
女帝や近衛兵の行動はパワハラになるのか?
ここは冷静に考える必要があります。
「嫌な人だからパワハラ」
「無視されたから全部違法」
という単純な話ではありません。
厚生労働省では職場のパワーハラスメントを、
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの
という3つの要素をすべて満たすものとしています。
一方、パワハラの典型的な例として、
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
という6類型も示されています。
特に女帝と近衛兵の問題で注意したいのが、
「人間関係からの切り離し」
です。
厚生労働省は、この具体例として「隔離・仲間外し・無視」などを挙げています。
例えば、
- 一人だけ必要な会議に呼ばない
- 業務上必要な情報を意図的に伝えない
- 集団で継続的に無視する
- 特定社員だけ孤立させる
といった行為が続いている場合、単なる「人間関係が悪い」で終わらせない方がいいケースもあります。
女帝と近衛兵に狙われたときの5つの対処法
ここからがこの記事で一番伝えたい部分です。
僕の考えでは、こういう相手と真正面から戦う必要はありません。
勝ったところで疲れるだけです。
大切なのは、
会社員として自分を守ること。
そのために僕なら次のように対応します。
1.必要以上に近づかない
最も簡単で効果があるのが距離を取ることです。
業務上必要なコミュニケーションは普通にする。
しかし、それ以上は深入りしない。
例えば、
- 悪口大会に参加しない
- 派閥に入らない
- 社内の噂話をしない
- 女帝の個人的な相談役にならない
- 誰かの悪口に同意しない
この距離感が重要です。
完全に無視すると逆に敵視されることもあります。
おすすめなのは、
「敵でも味方でもない普通の同僚」
というポジションです。
挨拶する。
仕事はきちんとする。
頼まれた仕事には対応する。
でも個人的には深入りしない。
これくらいがちょうどいいと思います。
2.口頭だけでなく記録を残す
実害が出始めたら記録を残してください。
これは非常に重要です。
厚生労働省のハラスメント相談案内でも、相談するときには、
- いつ
- どこで
- 何をされたか
- 誰からされたか
- 誰が見ていたか
などを整理することが推奨されています。
僕ならスマートフォンのメモなどに、
「○月○日10時頃、会議室。○○さんから△△と言われた。AさんとBさんが同席」
というように残します。
感情ではなく事実を書くのがポイントです。
メールやチャットで業務指示が来ている場合は、それらも保存しておいた方がいいでしょう。
「○○さんは性格が悪い」
では証拠になりません。
「○月○日、必要な資料が自分だけ共有されず業務が停止した」
なら事実として説明できます。
3.悪口で対抗しない
これはかなり重要です。
やられたらやり返したくなります。
しかし、
「女帝って本当に最悪だよね」
と周囲へ言い始めると、あなた自身も同じ派閥争いの中へ入ってしまいます。
しかも、
「○○さんも女帝の悪口を言っていましたよ」
と伝えられてしまえば、さらに状況が悪化します。
だからこそ、
自分は事実だけ話す。
これを意識した方がいいです。
4.会社の相談窓口や信頼できる上司へ相談する
被害が仕事に影響するレベルになったら、社内相談も選択肢です。
現在、事業主には職場におけるパワーハラスメント防止のため、必要な措置を講じることが義務付けられています。
相談窓口の整備や、相談があった場合の事実確認・再発防止なども求められています。
ただし相談するときも、
「女帝が嫌いです」
ではなく、
「○月以降、業務上必要な情報が自分だけ共有されないことが4回あり、業務に支障が出ています」
というように客観的な事実を伝えることが重要です。
5.会社が動かないなら「逃げ道」を作る
一番厄介なのは、
女帝だけではありません。
会社そのものが女帝を守っている場合です。
例えば、
- 経営者と極端に仲が良い
- 親族関係にある
- 上司も女帝を怖がっている
- 過去にも被害者が辞めている
- 相談しても「あなたにも原因がある」と処理される
- 問題を起こしても何度もかばわれている
こうした会社では、個人一人で組織文化を変えるのはかなり難しいと思います。
そこで必要なのが、
「いつでも離れられる状態を作ること」
です。
別に明日辞表を出す必要はありません。
資格の勉強をする。
求人を眺める。
自分の経験を整理する。
職務経歴書を作ってみる。
こうした準備だけでも違います。
「この会社しかない」
と思っている状態と、
「最悪の場合は別の会社へ行ける」
と思っている状態では、精神的な余裕がまったく違います。
※あわせて読みたい
▶職場の女帝に嫌われる女性の特徴5選!ターゲットになる意外な理由
社内で解決できない場合は外部へ相談する方法もある
会社に相談窓口がない。
相談したけれど取り合ってもらえない。
会社へ相談すると不利益を受けそうで怖い。
こうした場合には、会社の外へ相談する方法もあります。
厚生労働省の「総合労働相談コーナー」では、いじめ・嫌がらせ、パワハラ、配置転換、解雇、賃金など幅広い労働問題について相談を受け付けています。
「こんなことで相談していいのかな?」
と悩む人もいると思います。
しかし、自分一人で判断できないからこそ相談窓口があります。
少なくとも、
一人で抱え込む必要はありません。
※あわせて読みたい
▶職場の女帝に可愛がられる部下の特徴5選!優遇される理由と末路
女帝を倒すことより自分の人生を守る方が大切
職場の女帝と取り巻きに遭遇すると、
「どうやったらあの人を辞めさせられるだろう」
「いつか仕返ししたい」
と思ってしまうことがあります。
気持ちは分かります。
僕も長い会社員生活の中で、理不尽な人を何人も見てきました。
でも今になって思うのは、
そんな人のために人生の時間を使う方がもったいない
ということです。
女帝が変わるかどうか。
近衛兵が反省するかどうか。
会社が正常になるかどうか。
これは自分ではコントロールできません。
でも、
- 距離を取る
- 記録する
- 悪口に参加しない
- 相談する
- 逃げ道を作る
これは自分でできます。
まとめ|職場の女帝とは戦わず距離を取る

最後にまとめます。
職場の女帝は必ずしも役職が高い人ではありません。
長年の勤務、人間関係、経営者との関係などによって、正式な役職以上の影響力を持っている人物です。
そしてその周囲に「近衛兵」とも言える取り巻きが生まれると、職場の人間関係はさらに複雑になります。
そんな環境に遭遇したら、
- 必要以上に近づかない
- 派閥や悪口に参加しない
- 実害があれば記録する
- 必要なら会社へ相談する
- 会社が変わらないなら逃げ道を作る
この5つを意識してください。
真正面から戦う必要はありません。
会社員にとって一番大切なのは、
女帝との戦いに勝つことではなく、自分の仕事と生活と人生を守ることです。
職場なんて人生の一部です。
そこで人間関係に消耗し、家に帰ってからも嫌な人のことを考え続けるのは、本当にもったいない。
僕自身、20年以上会社員を続けてきて、40代になって改めてそう思います。
どうしても会社が変わらないなら、自分が環境を変えるという選択肢もあります。
逃げるのではありません。
自分の人生を守るための戦略的撤退です。
職場の人間関係に人生を支配されないようにしましょう。
女帝シリーズ』職場の女帝と取り巻きの近衛兵たち 他の記事はこちら↓

※あわせて読みたい
▶お局とは?会社のお局様の意味と特徴!ターゲット回避の対処法を解説
▶職場の女帝に嫌われる女性の特徴5選!ターゲットになる意外な理由
▶職場の女帝に可愛がられる部下の特徴5選!優遇される理由と末路


コメント