食料品減税で飲食店は増税?現役営業が接待予算1万円への影響を解説

食料品減税で飲食店は増税?現役営業が接待予算1万円への影響を解説 キャリア戦略
食料品減税で飲食店は増税?現役営業が接待予算1万円への影響を解説

「食料品の消費税が8%から1%になれば、飲食店の経営も楽になるのでは?」

そう思うかもしれません。しかし、食材の仕入れにかかる税率が下がっても、店内飲食の税率が10%のままなら、飲食店が納める消費税は増える場合があります。理由は、売上にかかる消費税から差し引ける「仕入税額控除」が減るためです。

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消費税は消費者が納税するものではなく、事業者が納税する仕組みです。
消費税が減税しても消費者の我々への恩恵は、あまり期待できないと思います。

今回の画像と同じく、売上が税込み10,000円、食材の仕入額が税込み3,240円で変わらない場合、店の納税額は約669円から約877円へ増えます。この負担を受けて店が値上げを選べば、接待予算が変わらない会社員は、注文内容を見直すことになります。

この記事では、接待に使える金額が「税込み1人10,000円まで」の会社を例に、税金の仕組みと注文への影響を整理します。

※食料品を8%から1%へ減税し、外食は10%に据え置くと仮定した試算です。制度の実施決定を伝える記事ではありません。

今回の前提は「食料品だけ減税、外食は10%のまま」

国税庁の説明では、酒類・外食を除く飲食料品は軽減税率8%の対象で、店内飲食には標準税率10%が適用されます。食材を買う取引と、店で料理を提供する取引は、税率の扱いが異なります。
国税庁「消費税の軽減税率制度」

今回は、次の条件を置きます。

項目試算の条件
会社の接待規定税込み1人10,000円まで
飲食店の売上1人分の会計が税込み10,000円
食材の仕入額税込み3,240円で据え置き
食材の税率8%から1%に変更
店内飲食の税率10%のまま
店の計算方法一般課税で、対象の仕入税額を全額控除できる

仕入れる食材の量・内容は同じとし、画像の3,240円は減税対象の食材だけの金額として扱います。酒類や光熱費などは今回の減税対象に含めず、食材以外の費用は変わらないものとして比較から省きます。

価格が税率に連動して必ず下がる、という前提にはしません。まず画像どおり、実際の支払額が変わらない場合を見ていきましょう。

なお、利用する会社が支払うのは店内飲食の代金です。食材の税率が1%になっても、この設定では接待費の税率まで1%にはなりません。税込み1万円に含まれる税額が直接変わるのではなく、店の価格設定を通じて注文に影響する、という話です。

仕入税額控除とは?売上の消費税から仕入れの消費税を引く仕組み

一般課税では、売上にかかる消費税額を、そのまま全額納めるわけではありません。仕入れなどにかかった消費税額を、要件に従って差し引きます。これが「仕入税額控除」です。
国税庁「納付税額の計算のしかた」

基本の考え方は、次の式です。

納める消費税=売上にかかる消費税-控除できる仕入れ等の消費税

例えば、売上にかかる消費税が909円、食材の仕入れにかかる消費税が240円なら、差額の669円を納める計算になります。仕入代金3,240円を丸ごと税額から引くのではなく、その中の消費税相当額を引く点がポイントです。

また、消費税は「利益に一定の税率を掛ける税金」ではありません。食材費や水道光熱費などは課税仕入れになり得ますが、従業員への給与は課税仕入れに含まれません。経費なら何でも同じように控除できるわけではないのです。なお、派遣社員など非正規雇用は課税仕入れになり得ます。
国税庁「仕入税額控除の対象となるもの」

仕入税額控除には、原則として所定の帳簿と適格請求書等の保存が必要です。インボイスは、取引の税率や税額などを確認するための書類で、今回は必要な要件を満たしているものとします。
国税庁「適格請求書等保存方式」

画像で比較|食料品8%と1%で店の納税額はどう変わる?

以下は、消費税と地方消費税を合わせた概算です。実際の申告は課税期間全体で計算し、端数処理なども行うため、画像の金額は仕組みを理解するためのモデルとして見てください。

食料品8%では、納税額は約669円

仕入税額控除:食料品税率8%で、売上にかかる消費税909円から仕入税額240円を控除し、納税額が約669円になる例
仕入税額控除:食料品税率8%で、売上にかかる消費税909円から仕入税額240円を控除し、納税額が約669円になる例

税込み10,000円の店内飲食には、約909円の消費税が含まれます。税込価格から税額を求めるため、10,000円に10%を掛けるのではなく、次のように計算します。

売上の消費税:10,000円×10÷110=約909円

食材の税込み仕入額3,240円に含まれる消費税は、3,240円×8÷108=240円です。したがって、納税額は次のとおりです。

約909円-240円=約669円

なお、画像内の「利益」は、売上から表示された仕入額を引いた段階の差額です。消費税の納付や人件費、家賃などを差し引いた最終利益ではありません。次の画像も同様です。

食料品1%では、納税額は約877円

仕入税額控除:食料品税率1%で、税込み仕入額3,240円を据え置くと仕入税額が約32円になり、納税額が約877円になる例
仕入税額控除:食料品税率1%で、税込み仕入額3,240円を据え置くと仕入税額が約32円になり、納税額が約877円になる例

食材の税率が1%になっても、仕入先への支払額が税込み3,240円のままなら、その中の消費税は次の金額になります。

仕入れの消費税:3,240円×1÷101=約32円

店内飲食の売上と税率は変わらないため、売上にかかる消費税は約909円のままです。そこから差し引ける金額が240円から約32円に減り、納税額が増えます。

約909円-約32円=約877円

比較項目食料品8%食料品1%
店の税込売上10,000円10,000円
食材の税込仕入額3,240円3,240円
売上にかかる消費税約909円約909円
控除する食材の消費税240円約32円
モデル上の納税額約669円約877円
売上から食材代と納税額を引いた残額約6,091円約5,883円

同じ10,000円の売上でも、店の納税額が約208円増え、他の経費に充てられる金額は約208円減ります。

ここでいう「店側の増税」とは、飲食店の売上に適用される税率の引き上げではなく、仕入税額控除の減少による納税額の増加です。

税抜価格で見ると、食材の仕入額は3,000円から約3,208円に変わります。これは同じ変化を税抜経理で捉えたものです。納税額の増加と税抜仕入額の増加を足して、約416円の負担増と二重に数えないようにしましょう。

納税額の増加と、店の負担増は分けて考える

ただし、納税額が増えたことだけで、店の利益が同じだけ減るとは限りません。仕入先への実際の支払額も確認する必要があります。

仮に、食材の税抜価格が3,000円で変わらず、税率1%になったことで税込み仕入額が3,030円になったとします。この場合、控除できる税額は30円で、納税額は約879円です。

8%のときより納税額は210円増えますが、食材への支払いは3,240円から3,030円へ210円減ります。両方を合計すると、支出は変わりません。

仕入れの条件食材代+モデル上の納税額
8%・税込み3,240円約3,909円
1%・税込み3,240円を維持約4,117円
1%・税込み3,030円に下がる約3,909円

これは、仕入価格が必ず下がるという話ではありません。価格がどう決まるかによって、店の収支への影響が変わるという比較です。

画像が示す負担増の条件は、「食材の税率は下がるが、税込み仕入額は下がらない」ことです。この条件を添えると、食料品減税が飲食店の負担増につながる仕組みを、誤解なく説明できます。

同じ手残りを保つには、約230円の値上げが必要になる

ここからは画像と同じく、税込み仕入額3,240円を据え置く場合に戻ります。

店が約208円の負担増を価格で補うなら、単純に税込み208円を上乗せするだけでは足りません。値上げ後の売上にも10%の消費税がかかるからです。

他の条件を変えず、同じ注文内容で以前と同じ残額を確保するための税込み値上げ幅は、次のようになります。

約207.92円×1.10=約228.71円

つまり、税込み10,000円だった会計を、約10,229円にする計算です。ここでは金額を丸めて、約230円の値上げとして考えます。

もちろん、税率が変われば店が必ず値上げするわけではありません。価格を維持して利益の減少を受け入れる、仕入れを見直す、料理の構成を変更するなど、対応は店によって異なります。

また、食料品の税率が7ポイント下がるから、外食価格が一律7%上がるわけでもありません。今回の条件で必要となる値上げ幅は、元の会計に対して約2.3%です。

接待予算1万円が変わらなければ、注文できる内容が減る

では、会社の接待規定が「税込み1人10,000円まで」で変わらない場合、何が起きるでしょうか。

例えば、以前は次の注文ができたとします。価格はすべて税込みで、別途の席料やサービス料はない設定です。

料理8,500円+飲み物500円×3杯=10,000円

ここで店が、先ほどの約230円の値上げを料理代に反映し、飲み物は500円のままにすると仮定します。同じ注文では、合計が10,230円となり、規定を230円超えてしまいます。

注文内容値上げ前値上げ後・同じ注文値上げ後・予算内に調整
料理8,500円8,730円8,730円
飲み物500円×3杯500円×3杯500円×2杯
合計10,000円10,230円9,730円
1万円の規定予算内230円超過予算内

料理を同じにするなら、飲み物に使える金額は1,500円から1,270円へ減ります。500円の飲み物は3杯頼めなくなるため、この例では2杯に減らす必要があります。

反対に飲み物3杯を維持するなら、料理に使える金額は8,500円までです。その範囲で選べる別のコースを探すなど、内容の調整が必要になります。

会社が認める金額は同じでも、その金額で注文できる料理や飲み物が変わる。これが接待を手配する会社員にとっての影響です。

なお、230円は今回の条件での試算であり、実際の値上げ予測ではありません。注文を減らした後の店の仕入れや利益も、料理・飲み物の原価によって変わります。

接待を手配するときは「総額」と「会社の規定」を確認する

予約時には、飲み物やサービス料を含む総額を伝える

予算に上限があるときは、料理のコース料金だけで判断しないことが大切です。料理が予算内でも、飲み物、席料、個室料、サービス料を加えると上限を超えることがあります。

予約時には「料理・飲み物・諸費用を含めて、税込み1人10,000円以内」と伝え、どこまで含まれるかを確認しましょう。飲み放題付きでも、対象外の飲み物や追加注文の扱いを確認しておけば、当日の行き違いを減らせます。

価格改定があった場合は、以前のメニューや過去の領収書ではなく、今回の予約に適用される金額で見積もる必要があります。

社内の1万円規定と、税務上の1万円基準は別

この記事の1万円は、架空の会社が設けた「税込みの支出上限」です。すべての会社が法律で同じ上限を定められているわけではありません。

法人税には、一定の書類保存などの要件を満たす1人当たり10,000円以下の飲食費を、交際費等の範囲から除く取扱いがあります。ただし、税込・税抜の判定は会社の経理方式によります。これを、そのまま社内の接待予算と読み替えないようにしましょう。
国税庁「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

すべての飲食店に同じ計算が当てはまるわけではない

今回の計算は、実際の仕入税額を使う一般課税が前提です。簡易課税では、売上にかかる税額と「みなし仕入率」を使うため、食材の仕入税額が減った分だけ納税額が増える、という計算にはなりません。免税事業者も今回のモデルの対象外です。
国税庁「簡易課税制度」

実際に制度が変わる場合は、対象品目や経過措置も含めて確認が必要です。個別の納税額は、店の申告方法や取引状況を踏まえ、税理士などに確認してください。

まとめ|食料品減税は、接待の選択肢にも関わる

すごく複雑で、意見の分かれる消費税です。消費税を知ろうと思い以前から、かなり調べました。こんな複雑で個々の見解が違う税金はいかがなものかと思いますが、私の調べてた理解が以上になります。

食料品が8%から1%になり、外食が10%のままの場合、一般課税の飲食店では仕入税額控除が減り、納税額が増えることがあります。

画像のように売上10,000円、税込み仕入額3,240円を維持する例では、納税額は約669円から約877円へ増加。同じ注文で以前と同じ残額を保つには、税込み約230円の値上げが必要になる計算です。

その値上げが行われても会社の接待上限が1万円のままなら、飲み物を減らす、別の料理を選ぶなどの調整が必要になります。

税率の数字だけで、店が楽になるかどうかは判断できません。仕入れへの支払額、控除できる税額、店が設定する価格、会社の予算。このつながりを見ることで、飲食店と利用する会社員の両方への影響が分かります。

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