会社の人手不足はなぜ解消しない?構造的な原因5選

会社の人手不足は構造的に問題!有能な社員が辞める理由 ブラック企業対策
会社の人手不足は構造的に問題!有能な社員が辞める理由

「求人を出しているのに人が来ない」

「せっかく採用しても、すぐ辞めてしまう」

「辞めた人の仕事が残った社員に回って、さらに職場が忙しくなった」

こんな状態が何年も続いている会社はありませんか?

私はブラック企業と呼びたくなるような職場環境で20年以上会社員として働いてきました。

そこで何度も見てきたのが、

人が辞める→人手不足になる→残った社員が忙しくなる→さらに人が辞める

という負の連鎖です。

もちろん、日本全体で働き手を確保しにくくなっているという社会的な背景もあります。

厚生労働省も、2010年代以降続いている日本の人手不足について、過去の人手不足局面と比較して「長期かつ粘着的」であると分析しています。

しかし、同じ状況でも社員が定着している会社はあります。

逆に、何年も求人を出し続けながら、採用しても次々と辞めてしまう会社もあります。

その違いは何なのでしょうか。

私が20年以上の会社員生活で感じてきたのは、

慢性的な人手不足の会社ほど、「採用できないこと」より「人が残れない仕組み」に問題がある場合が多い

ということです。

この記事では、人手不足が解消しない会社にありがちな5つの構造的な問題と、なぜ有能な社員から辞めていくのかを、私自身の経験も交えて解説します。

結論|人手不足は「採用人数」だけでは解決できない

人が足りなければ、

「求人を増やせばいい」

「採用人数を増やせばいい」

と考えがちです。

もちろん採用は必要です。

しかし、バケツの底に穴が開いたまま水を入れ続けても、水は一向にたまりません。

会社も同じです。

新人を3人採用しても、その間に既存社員が3人辞めれば人手不足は解消しません。

むしろ新人教育を担当する社員の負担まで増え、職場環境がさらに悪化する可能性があります。

厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」でも、人手不足への対応として単純な採用だけではなく、賃金、労働環境、労働条件の整備・改善や離職率を下げることの重要性が指摘されています。

さらに厚生労働省が紹介する調査では、正社員が不足している事業所のうち、7割近くが一時的ではなく「構造的な不足」と認識しているという結果も示されています。

つまり、

「求人さえ出せば、そのうち解決する」

という問題ではない会社も少なくないということです。

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人手不足が解消しない会社にある5つの構造的な問題

私が実際に働いてきた職場を振り返ると、人手不足が慢性化している会社には共通点がありました。

1.評価が仕事ではなく「上司との人間関係」で決まる

まず大きいのが評価制度です。

本来なら、

  • 仕事の成果
  • スキル
  • 貢献度
  • 周囲へのサポート
  • 業務改善

などを総合的に見て評価するはずです。

ところが問題のある職場では、評価基準がいつの間にか、

「上司に気に入られているか」

に変わってしまいます。

上司との飲み会へ積極的に参加する。

ゴルフへ付き合う。

上司の意見には絶対に逆らわない。

そんな社員ばかりが高く評価される職場になると、真面目に仕事をしている社員ほど疑問を持ち始めます。

成果を出しても評価されない社員は会社を見限る

仕事ができる社員ほど、

「この会社であと10年働いたらどうなるのか」

を冷静に考えます。

成果を出しても給料が上がらない。

頑張っても評価されない。

一方で上司のお気に入りだけが昇進する。

そんな状況が何年も続けば、

「ここで頑張る意味がない」

という結論になるのも不思議ではありません。

そして転職できる能力や経験がある社員ほど、会社の外へ出る選択肢を持っています。

結果として、

会社に必要な人ほど先に辞めてしまう

という現象が起きます。

2.優秀な社員に仕事を集中させすぎる

人手不足の会社で非常によく起こるのが、

「仕事ができる人に仕事が集まる」

という問題です。

会社側としては、

「○○さんに任せておけば安心」

なのかもしれません。

しかし本人からすれば、

仕事ができる

仕事を任される

さらに仕事が増える

忙しくなる

責任も増える

しかし待遇はそれほど変わらない

という状態になります。

一方で仕事を任せにくい社員には、重要な仕事が回ってきません。

結果として同じ給料でも社員によって業務量に大きな差が生じます。

これは、真面目な人ほど疲弊する典型的な構造です。

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キーマンが辞めると問題が一気に表面化する

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特に危険なのが、

「この人がいなければ仕事が回らない」

という社員がいる会社です。

業務が個人の経験や努力によって支えられており、

  • マニュアルがない
  • 情報共有されていない
  • 後継者が育っていない
  • 特定社員しか対応できない業務がある

という状態になっています。

こうした会社ではキーマンが辞めた瞬間、それまで隠れていた組織の問題が一気に表面化します。

そして辞めた社員の仕事は消えません。

残った社員に振り分けられます。

その結果、

退職→残った社員の負担増→不満増加→さらに退職

という負の連鎖が始まります。

私自身、20年以上の会社員生活の中で、このような流れを何度も見てきました。

会社は一人辞めただけだと思っていても、現場ではそれが職場全体の空気を変えるきっかけになることがあります。

3.人手不足なのに「理想の即戦力」しか採用しない

人が辞めれば会社は求人を出します。

ところが、人手不足が深刻な会社ほど、

「即戦力がほしい」

「経験者しか採用したくない」

「この条件も満たしてほしい」

「年齢はこのくらいまで」

など、採用条件をどんどん厳しくしてしまうことがあります。

もちろん企業が必要な経験・能力を設定すること自体は当然です。

問題は、

人手不足の原因や自社の採用競争力を見直さないまま、応募者だけに高い条件を要求すること

です。

2025年度平均の有効求人倍率は1.20倍でした。

単純化はできませんが、少なくとも労働市場全体では求人数が求職者数を上回る状況が続いています。

つまり企業側も「選ぶだけ」の立場ではありません。

求職者から、

「働く会社として選んでもらう」

必要があります。

求人媒体を変えるだけでは根本解決にならない

転職サイトで応募がないからハローワークへ。

ハローワークで応募がないから求人サイトへ。

求人サイトでダメだから人材紹介会社へ。

採用媒体を変えること自体は悪くありません。

しかし、

  • 給与が相場より低い
  • 休日が少ない
  • 残業が多い
  • 教育制度がない
  • 求める経験だけ異常に高い
  • 求人票と実際の仕事内容に差がある

といった問題が残ったままなら、媒体だけ変更しても根本的な改善にはなりません。

「どこで募集するか」より先に、「なぜ自社が選ばれないのか」を考える必要があります。

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4.採用しても新人を育てる仕組みがない

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苦労して採用できても、そこで安心はできません。

人手不足の会社ほど、

新人教育に割ける人員がいない

という問題を抱えています。

現場はすでに人手不足。

教育担当者も自分の仕事で手いっぱいです。

そこへ新人が入ってきます。

すると、

「とりあえず先輩について覚えて」

「分からなかったら聞いて」

「OJTだから」

という状態になります。

しかし、新人からすれば何が分からないのかさえ分かりません。

教えていないのに「仕事ができない」と評価する

そして数か月すると、

「覚えが悪い」

「最近の新人はダメだ」

「自分から動かない」

などと言われ始めます。

しかし冷静に考えれば、

きちんと教育していないのに、できることだけを求める

という矛盾した状態です。

新人が辞めれば会社は、

「最近の若い人はすぐ辞める」

と言います。

そして再び求人を出します。

しかし、教育体制を変えなければ次に採用した人にも同じことが起きます。

これでは、

採用

放置

新人が疲弊

退職

再び採用

の繰り返しです。

会社が採用人数ばかり見て、「定着率」を見ていないと、人手不足はいつまで経っても改善しません。

5.現場からの改善提案を「文句」として扱う

改善提案が「文句」と扱われる絶望的な上層部
改善提案が「文句」と扱われる絶望的な上層部

そして私が最も危険だと思うのが、

改善しようとする社員を会社が嫌う状態

です。

現場から、

「この業務を変えたほうが効率的です」

「新人教育の仕組みを作ったほうがいいと思います」

「このままだとまた人が辞めます」

と提案しても、

「余計なことを言うな」

「昔からこうやっている」

「会社への文句ばかり言うな」

と片付けられてしまう。

これでは改善できません。

問題を指摘する人ではなく、問題そのものを見る

会社にとって耳の痛いことを言う社員が、必ずしも会社の敵とは限りません。

むしろ、

「この会社を良くしたい」

と思っているから意見を出している場合もあります。

ところが問題のある組織ほど、

問題そのものではなく、問題を指摘した人を排除しようとします。

すると社員は学習します。

「何を言っても無駄だ」

「黙っていたほうが得だ」

となります。

最終的には誰も改善提案をしなくなります。

そして能力があり、別の会社へ移れる人から静かに辞めていきます。

人手不足の「負のループ」はこうして完成する

ここまでを整理すると、慢性的な人手不足は次のような流れで悪化していきます。

待遇・評価・職場環境に問題がある

優秀な社員が辞める

残った社員の業務量が増える

職場環境がさらに悪化する

求人を出す

条件が合わず採用できない

ようやく採用しても教育できない

新人が辞める

残った社員がさらに忙しくなる

この循環に入ると、単純に求人広告へお金をかけるだけでは解決しません。

会社自身が、

「なぜ辞めたのか」

「なぜ応募されないのか」

「なぜ定着しないのか」

を検証しなければならないからです。

厚生労働省も、人手不足への対応では労働生産性向上だけでなく、離職率を下げるために賃金水準を含む労働環境・労働条件を改善する重要性を指摘しています。

つまり、

採用と定着はセットで考えなければならない

ということです。

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日本全体でも人手不足は簡単には解消しない

ここで、「うちの会社だけの問題なのか?」という点も考えておきましょう。

答えはNOです。

日本全体にも構造的な人手不足の問題があります。

厚生労働省は、2010年代以降の人手不足について、過去の人手不足局面よりも「長期かつ粘着的」だと分析しています。

さらに2025年版の「労働経済の分析」でも、大企業・中堅企業・中小企業のいずれでも人手不足感が強いことが示されています。

したがって、

「そのうち求人を出せば人が来るようになるだろう」

と楽観的に待つだけでは難しい可能性があります。

だからこそ企業側も、

  • 社員が辞めない環境を作る
  • 業務を効率化する
  • 適切な賃金を支払う
  • 教育体制を整える
  • 特定社員への業務集中を防ぐ
  • 多様な人材を採用する

といった取り組みが必要になります。

人手不足の会社で働いている人が確認したい5つのサイン

ここからは社員側の視点です。

勤務先が単純な一時的人手不足なのか、それとも構造的な問題を抱えているのか。

私は次の5つを確認すると分かりやすいと思います。

1.何年も同じ求人を出している

半年程度ではなく、何年も同じ職種を募集している。

それなら採用人数だけではなく、定着に問題がある可能性も考えたほうがいいでしょう。

2.退職者が出ても原因を調べない

「あいつは根性がなかった」

「家庭の事情だろ」

「最近の若者はすぐ辞める」

これだけで終わってしまう会社は要注意です。

退職者本人だけに原因を求め続ければ、会社側の問題は永遠に改善されません。

3.辞めた人の仕事を補充せず残った社員へ渡す

一人辞める。

補充しない。

残った社員へ仕事を振る。

その社員が疲弊して辞める。

これは人手不足を悪化させる典型的なパターンです。

4.改善提案を上層部が嫌がる

人手不足なのに仕事のやり方を変えない。

非効率なルールも変えない。

教育制度も作らない。

それどころか改善案を出した社員を煙たがる。

この状態では、人手不足だけでなく会社全体の将来性も考える必要があります。

5.優秀な社員から辞めている

私が特に注意して見てほしいのがこれです。

職場で、

「この人がいなくなったら困る」

と思われていた人が次々と辞めていく。

これはかなり大きなサインです。

能力のある人は、自分の経験やスキルを他社でも活かせる可能性があります。

だから会社の将来性に疑問を感じれば、早く動けます。

会社を見るときは「誰が残っているか」だけでなく、「誰が辞めていったか」を見ることも重要です。

会社が本気で変われば人手不足は改善できる可能性がある

もちろん、人手不足だからといって、その会社が必ずブラック企業というわけではありません。

急激に売上が伸びて一時的に人が足りなくなる会社もあります。

産休・育休や退職が偶然重なることもあります。

重要なのは、

会社が問題を認識して改善しようとしているか

です。

たとえば、

  • 給与を見直した
  • 年間休日を増やした
  • 採用条件を現実的にした
  • 教育担当者を決めた
  • マニュアルを作った
  • 業務を標準化した
  • DXやIT化を進めた
  • 特定社員への業務集中を減らした
  • 退職者の理由を分析した
  • 現場社員の意見を聞くようになった

こうした変化が実際に起きているなら、会社が人手不足を本気で改善しようとしていると考えられます。

反対に、

「人がいない」

「最近の若者はダメだ」

「求人を出しても来ない」

と何年も言っているだけで何も変えない。

そんな会社なら、問題は求人ではなく会社の中にあるかもしれません。

まとめ|人手不足の本当の原因は「人が来ない」だけではない

会社の人手不足には、日本全体の人口構造や労働市場など、個々の企業だけでは解決できない背景があります。

しかし、

「人が来ない」という社会環境と、「人が残らない」という会社内部の問題は分けて考える必要があります。

私が20年以上の会社員生活で何度も見てきたのは、

正当に評価されない

できる人が辞める

残った社員が激務になる

さらに人が辞める

採用する

教育できない

また辞める

という負の連鎖でした。

一度この状態に入ると、社員一人の努力ではなかなか変えられません。

だからこそ今の会社が人手不足なら、

「人がいない」という表面的な現象だけではなく、「なぜ人が残らないのか」まで見てみてください。

その答えに、その会社の本当の姿が表れていることがあります。

会社が問題を認め、改善しようとしているならまだ希望があります。

しかし、何年経っても同じ人手不足を繰り返し、退職した社員や応募者ばかりを責め続けているのであれば、自分自身の働き方や将来について考えるきっかけにしてもいいと思います。

会社は一つですが、自分の人生は一度きりです。

会社を守ることより先に、自分の働く環境と将来を守ることも忘れないでください。

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